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台湾海峡・沖縄ケーブル・南シナ海を続けて読む

台湾有事の海上・通信リスクを、海峡通過、海底ケーブル、南シナ海の入口支配から整理します。

要旨

  • 米国、英国、フランス、ドイツは、中国海警局の台湾東方での活動について、航行の自由や国際商船の安全に関わる問題として懸念を示した。
  • 中国側は、通過船舶198隻を検査し、3隻の違反を是正し、水路測量や海底ケーブル周辺の巡回を行ったと主張している。この数字や内容は、中国側の発表として扱う必要がある。
  • 日本にとっての論点は、台湾周辺の個別事案にとどまらない。台湾東方、バシー海峡、日比の海洋協議、海底ケーブル、商船保険が同じ海上リスクの地図に入ってくる。

米英仏独と米国の反応で、論点は商船照会から管轄権問題へ移った

Maritime patrol, commercial shipping, and undersea cable risk scenes

台湾東方での中国海警局の活動をめぐり、英国、フランス、ドイツの台湾にある事実上の大使館は、地域の安定、航行の自由、国際商船の安全を脅かすとして懸念を表明した。AP通信は、こうした共同声明をまれな動きとして伝えている。

Reutersは、米国も中国側の行動に反対し、航行、上空飛行、海底ケーブル敷設、その他の合法的な海洋利用を妨げる中国の権限を認めない立場を示したと報じた。

これにより、今回の事案は単に中国船が商船へ無線で照会したという話ではなく、台湾東方の海域でどの国・機関が何を管轄できるのかという法的・外交的な争点として扱われる段階に入った。

中国側は日比協議への警告と行政実績の形で説明している

Maritime patrol, commercial shipping, and undersea cable risk scenes

AP通信によると、中国国営メディアは、今回の活動を日本とフィリピンが発表した海洋境界協議への警告として位置づけた。中国側は、対象海域を自国の権益に関わる海域と見ている。

Reutersは、中国側が巡回で通過船舶198隻を検査し、3隻の違反を是正し、水路測量を行い、海底ケーブルがある区域を巡回したと主張したと伝えている。

ここで重要なのは、198隻という数字を各国が確認した事実として読むことではない。中国側が、検査、是正、測量、ケーブル周辺巡回という行政実績のような言葉で、自らの管轄主張を積み上げている点だ。

台湾側は、商船への照会と管轄権主張を問題視している

Maritime patrol, commercial shipping, and undersea cable risk scenes

Reutersは、台湾側が、通過中の商船3隻が中国海警局の船から出発地や目的地を尋ねられ、中国側が管轄権を主張したと説明していると報じた。

この台湾側の説明では、問題の中心は、商船に対する照会そのものだけではない。中国側が台湾東方で管轄権を示すような振る舞いをしたことが、国際航路を利用する船会社や関係国にとっての不確実性になる。

一方で、現時点の報道からは、商船が拿捕された、航路が封鎖された、軍事衝突が起きたといった事実は確認されていない。したがって、論点は封鎖ではなく、管轄権の既成事実化と商業運航への手続きリスクとして見るべきだ。

日本に関係するのは、台湾東方とバシー海峡が航路とケーブルの結節点だからだ

日本から見ると、台湾東方の海域は遠い周辺海域ではない。台湾の東側、バシー海峡、フィリピン北方の海域は、日本と東南アジアを結ぶ商船航路、エネルギー輸送、海底ケーブルのルートと重なる。

そのため、中国側が台湾東方で検査や測量、海底ケーブル周辺巡回を主張することは、日本企業の船舶運航、保険、ケーブル敷設・修理計画にも影響し得る。影響は直ちに運航停止という形で出るとは限らないが、照会への対応手順、リスク評価、保険条件の見直しとして表れる可能性がある。

日比の海洋境界協議も、この文脈で敏感になる。ただし、日本とフィリピンだけで台湾が実効支配する海域の扱いを決められるわけではない。だからこそ、協議の表現、対象海域の説明、中国側の反応を分けて読む必要がある。

検査記録は、明日の管轄権主張の材料になり得る

今回の新しさは、商船への無線照会が初めて起きたことではない。新しいのは、米英仏独と米国が公に懸念を示し、中国側が多数の船舶検査や違反是正、ケーブル周辺巡回を実績として語ったことだ。

海上では、今日の巡回記録や検査件数が、明日の「通常の行政活動」という説明に変わることがある。相手国が黙認したように見える状態が続けば、管轄権の主張は実務の形で強まっていく。

したがって、日本が注視すべきなのは、一度の巡回の規模だけではない。同じ海域で同じ説明が繰り返されるか、商船やケーブル関連作業への照会が標準化するか、日比協議に対する中国側の警告表現が強まるかである。

主な出典

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