要旨
- 北朝鮮は兵器試験の後、軍事姿勢をさらに攻勢的にする必要があると訴えた、と報じられています。
- 韓国は多数の兵士をドローン運用に習熟させ、商用ドローン、偵察用ドローン、低コストの戦闘用ドローンを増やす方針を示しています。
- 日本にとっての論点は、韓国の制度をそのまま導入することではなく、基地、港湾、燃料施設、レーダー、空港を小型無人機からどう守るかです。
朝鮮半島の安全保障を見るとき、日本ではミサイルや核戦力に注目が集まりがちです。ただ、今回の韓国のドローン訓練方針と北朝鮮の攻勢的な姿勢を並べて見ると、競争の焦点は「高価な兵器を何発持つか」だけではありません。安い機体をどれだけ扱えるか、それを見つけて止められるか、攻撃を受けた基地をどれだけ早く復旧できるかも、同じくらい重要になっています。
起きていること:攻勢姿勢とドローン訓練が同時に進む

AP通信は、北朝鮮の金正恩総書記が兵器試験の後、より致死的で破壊的な攻勢姿勢を強める必要があると述べたと報じました。同じ時期に、韓国は軍のドローン能力を大きく拡張する方針を示しています。
ガーディアンは、韓国が約50万人の軍要員をドローン操縦者として訓練し、商用ドローン、偵察用ドローン、低コストの戦闘用ドローンを大量に調達する計画だと伝えました。Aju Pressは、韓国側がK-LUCASの配備や無人戦闘能力の拡大を進める方針だと報じています。
ここで重要なのは、韓国の取り組みをそのまま日本の政策案として読むことではありません。韓国は陸上境界線を抱え、北朝鮮と直接向き合う国です。一方、日本は島しょ、港湾、航空基地、レーダーサイト、在日米軍施設を含む後方支援の拠点を守る立場にあります。地理も任務も違います。
なぜドローンは軍の設計を変えるのか

ドローンが厄介なのは、高性能な一部の機体だけではありません。商用品に近い安価な機体、偵察用の小型機、爆発物を積む簡易な機体が混ざると、守る側は毎回、高価な迎撃手段だけで対応しにくくなります。
ウクライナや中東の戦場では、ドローンが偵察、目標確認、攻撃、砲撃補正、心理的圧力に使われてきました。ただし、その経験を朝鮮半島や日本へ機械的に移すことはできません。地形、航空優勢、電子戦、法制度、民間空域の密度が違うからです。参考にできるのは、個別の戦術よりも、安価な無人機が防護、訓練、補給、指揮統制の前提を変えるという点です。
つまり、問われるのは操縦者の数だけではありません。発見するレーダーやセンサー、妨害装置、迎撃手段、現場の判断権限、通信の冗長性、破損した滑走路や燃料設備を直す能力まで含めた設計です。
日本への接続:基地防衛は日常訓練の問題になる

日本にとっての論点は、北朝鮮の発言を直ちに日本攻撃の予告と読むことではありません。むしろ、朝鮮半島で無人機の比重が増えるほど、日本の基地や補給線も、低空・小型・多数・安価な脅威を前提に見直す必要が出てくる、ということです。
対象になるのは自衛隊基地だけではありません。港湾、燃料貯蔵施設、弾薬関連施設、レーダーサイト、民間空港、在日米軍基地も、危機時には作戦継続に関わります。大型ミサイルへの備えと、小型ドローンへの備えは別物です。後者では、警備、通信、地方自治体との連絡、民間施設との役割分担がより細かく問われます。
韓国の「多数の兵士にドローンを扱わせる」という方向は、日本にとっても一つの比較材料になります。ただし、日本でより大きな意味を持つのは、全員を操縦者にする発想より、基地を守る側が小型無人機を日常的に見つけ、識別し、止め、被害後に復旧する訓練を持っているかです。
編集部の見立て:ミサイル防衛の外側を見落とさない
編集部の見立てでは、今回の焦点は「韓国がドローン大国になるか」ではありません。朝鮮半島の軍事競争が、ミサイルの射程や核戦力の話だけでなく、安価な無人機、対ドローン防護、基地の復旧力、指揮統制のしぶとさへ広がっていることです。
日本が見るべきなのは、韓国の調達数そのものよりも、訓練をどの部隊まで広げるのか、対ドローン装備をどう組み合わせるのか、北朝鮮側がどのような無人機試験や運用を示すのか、そして日米韓の情報共有が低空・小型脅威にも対応できる形になるのかです。
次に確認したい一次資料
まず確認したいのは、韓国国防部や韓国軍が今後出す調達・訓練計画の本文です。報道では規模感が見えますが、実際にどの部隊が、どの機体を、どの任務で使うのかは公式文書で確認する必要があります。
次に、日本の防衛省資料で、対無人機対処、基地防護、滑走路復旧、弾薬・燃料施設の防護がどの予算項目や訓練に入っているかを見る必要があります。最後に、北朝鮮の無人機関連の試験や、ロシアなどからの技術移転をめぐる各国政府の発表も、報道だけでなく一次資料を優先して確認したいところです。
主な出典
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